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借金過多・差し押さえ・健康不安・手形不渡りなどにより閉鎖、長男が起業し転生再建|転生による再建事例

サラ金

依頼内容

サラ金や銀行借入の返済難、手形不渡り及び持病の悪化などにより経営続行不可能な状態であり、前進するも後退するも分からずオロオロしているばかり。

この状態からなんとか救って楽にして欲しいとの相談だった。

税務署から売掛金すべてに差し押さえがかかっており、万事休すの状態だった。

再建の経緯

E工業の社長(75歳)は若い頃からの持病が悪化、無理を重ねていた。

資金繰りも苦しくなっており、経理担当者の奥様は深く考えず、サラ金から借り、返済をするためにまた別のサラ金から借りるという悪循環に陥り、多重債務者になっていた。

そして、にっちもさっちもいかなくなり、
私のところへ相談に来たのであった。

再建方針〈転生による再建〉

面談をしたところ、社長の経営続行はストレスも重なり、健康面でも不可能と判断、現在の会社を倒産させ別会社で息子に後を継がせる形の転生により再建することにした。

再建方法

再生方法

① 長男を解雇、新会社設立

勤めていた長男は連帯保証人になっていなかったので、倒産の2ヵ月前に解雇した形をとった。

そして長男が新会社を設立、旧会社の閉鎖と同時に営業を引き継ぐこととした。

② 旧会社の閉鎖

社長夫妻は高齢であり、会社倒産の修羅場を乗り切ることは困難だった。

そこで社長は入院してもらい、
私が社長代行を引き受けた

③ 金融機関との交渉

取引銀行からの借入残高4行で計6,000万円は、全て保証協会に代位弁済してもらい、保証協会へは、連帯保証人としてごく少額を払い続けることとした。

当初、毎月2,000円の返済額を提示したところ全く相手にしてもらえなかったが、社長を同行、誠意を示すことによって理解して頂き、白紙の振込用紙を頂いた。

④ サラ金との交渉、過払い請求

サラ金は約10社、計800万円もあった。

これを全て1,000円ずつの返済とし急場を凌いだ。

そして息子への転生が成功してから、過払い請求調停により約500万円を取り戻し、再建資金とした。

⑤ 税金関係

税務署からは、売掛金全額に差し押さえがかかっていたが、事情を説明。

1ヶ月の差し押さえ猶予を黙認して頂きその間に集金回収した。

そして滞納していた国税、県税、市税も誠意を以って話し合い、納めないで解決することができた。

超法規的な処理である。

⑥ 住宅ローン

会社の借入金について社長が連帯保証人になっており、自宅を担保提供していた。

当然、自宅は担保処分を免れない。

しかし、住宅ローンが残っており、そのローン担保が他銀行からの競売処分から守ってくれることになった。

住宅ローン返済額はアパートの家賃並みでもあり、住宅ローンだけは、年金収入から確実に返済していくことにした。

◎ 閉鎖決算手続き

閉鎖決算手続き

閉鎖の際、税金滞納については閉鎖決算が求められる。

この場合、自分で作ることを勧めている。経理事務所もいい加減なものは作れないからであり、時間と費用もかかる。

税務署の指導に従い決算すれば数頁の決算書で出来上がり、それ程難しいものではない。この時も、全く余裕の無い状態であり、簡単な決算書を作成して提出した。

結果

このようにして債務を旧会社で全て引き受け、新しい会社が仕入れ代金、地代家賃、未払い経費など、経営して行く上で必要なものを営業権譲渡分として引き継いだ。

その後社長は体力を取り戻し、長男の経営する会社で働いている。

再建コンサルタント:古川益一のコメント

古川益一

この事例は、経理に無知な社長夫人が招いた経営破綻劇です。

どん底の状態に陥っており、あと10日間遅かったら、社長夫婦共に病気が悪化してどのような結果を招いたか分からない、寸前の救出劇でした。

この夫婦を救ってくれたのは、お客様、仕入先、銀行、税務署、県など全ての周囲の善意の心でした。

その善意を引き出したのは経営者夫妻の反省と誠意ある対応でした。

つまり、関係者の鬼の心を人の心へ、人の心から思いやる神の心へと引き上げることができたからでした。

善意総和型再建の好例です。

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