相談内容
S会社はリフォーム会社として15年が経過したが、紆余曲折があり、売上は伸び悩み収益性も悪化していた。
この将来の光が見えない状態を何とか再建したいとの相談があった。
診断結果
E社長は営業を得意とし、売上はあるものの財務には疎いため収益性が低く、このままでは赤字が続き、安定した経営は望めない状態だった。
しかし、売上はそこそこにあり、内部を改革すれば再建は難しくないと判断した。
再建方針
S会社の経営理念は確立しており、
経営方針にも問題はなかった。
しかし、財務に問題があり、これを改革した。
- 財務改革
- 非常に複雑な経理システムのためこれを単純化した。
経理が3人もおり、面談をすると社長に対して反抗的だった。税理士も自分の責任を重視しているため、会社にとっての柔軟な考えを持っていなかった。
①経理・税理士を刷新し収益性の向上に成功
やむを得ず経理3人を解雇。
さらに税理士も辞めてもらい、新しく税理士を迎え入れ経理も1人採用した。
これにより、大幅に無駄を省くことが出来た。それより何より、税理士の指導する税務的な経理ではなく、経営的な財務の考え方を取り入れることが出来るようになった。
これにより、収益性は格段に向上した。
②銀行の応援
それまで銀行からの借入が出来ず、厳しい資金繰りを強いられていた。
急遽作成した経営計画書を各銀行に届け、将来性を説明した。3行の中で、先ず1行が借入に応じてくれて、その月末支払いのピンチを凌ぐことが出来た。
すると、他行も競って貸してくれるようになり、ダム経営が出来るようになった。
③実行予算の重視
建設業では、実行予算書の作成が何より重要である。
ところが、実行予算書を作っていなかったのである。一つ一つの工事も、工事が終わってみなければ分からないありさまであった。これを工事着工前に、利益の計算をする習慣をつけることとした。
何より売上利益率を重視、会社として守らなければならない利益率を設けた。
原価計算は、減価計算であることを徹底的に意識化した。減価計算、原価計算、結果計算の違いをはっきりさせたのである。
これにより、売上利益率が守られることになり、赤字工事は激減。
翌月から赤字工事は無くなった。
改革の結果
改革をしてから毎月の営業収支は黒字になり、数か月後の決算は少し無理をしたが黒字決算とすることが出来た。
売上も、売上目標を一切掲げないでいたところ、以前から目標に掲げていた数字を達成することが出来た。
「売上を減らせば自ずと伸びる」好例である。