所得税未払い1,000万円超・売掛金差し押さえから黒字経営へ再生した愛知県の建設会社
経営危機は、売上不振や赤字だけが原因で起こるわけではありません。
税金や社会保険、資金繰り、取引先との信用。これらのどれか一つを甘く見てしまうだけで、会社は一気に倒産の危機へ追い込まれることがあります。
今回ご紹介するのは、愛知県の建設会社が、所得税未払い1,000万円超と売掛金差し押さえという危機から、国税局との交渉、社長の意識改革、取引先への誠意ある対応によって黒字経営を継続できる会社へ再生した事例です。
事例サマリー
所得税未払いが1,000万円を超え、売掛金差し押さえによって元請けとの取引停止寸前まで追い込まれた建設会社が、 分割納付交渉と社長の経営意識改革によって、黒字経営を続けられる会社へ再生した事例です。
社員数
創業年数
所得税未払い
売掛金差し押さえで取引停止寸前へ
所得税未払いが1,000万円を超え、国税局から売掛金の差し押さえを受けた状態でした。 大手建設会社からの売掛金が押さえられれば信用を失い、100%下請会社であるため取引中止が即倒産につながる危機でした。
差し押さえ撤回と分割納付計画を実行
社長と共に国税局へ行き、差し押さえの撤回と分割納付を交渉。 将来の収支を予測し、毎月いくらなら納付できるかを具体的に組み立て、滞納税金の完納に向けた計画を整えました。
取引先の信頼を回復し黒字決算を継続
社長が税務と経営への認識を改め、関係者への感謝と誠意ある対応を徹底。 取引先との関係も改善し、発注量が増え、社内も明るくなり、その後は黒字決算を続けています。
会社概要
- 所在地:愛知県
- 業種:建設業
- 社員数:7名
- 創業年数:約20年
- 会社の特徴:大手建設会社の100%下請会社
相談当時の状況
相談当時、この会社は国税局から売掛金の差し押さえを受けていました。
原因は、所得税の未払いが1,000万円を超えていたことです。税金を納められない状態を放置した結果、ついに売掛金へ差し押さえが入ったのです。
特に深刻だったのは、この会社が大手建設会社の100%下請会社であったことです。元請けからの売掛金が差し押さえられれば、元請けに税金滞納の事実が伝わり、信用を失う可能性が高くなります。
取引が中止になれば、即倒産に直結する。まさに、会社存続の瀬戸際でした。

再建方針
まず最優先で取り組むべきことは、売掛金の差し押さえを撤回してもらうことでした。
そのためには、単に「払えません」と伝えるのではなく、将来の売上、利益率、人件費、経費、資金繰りを見直し、毎月いくらであれば納付できるのかを具体的に示す必要がありました。
そこで、国税局へ社長と共に行き、差し押さえの撤回と分割納付を依頼する方針としました。
再建実行
1. 国税局へ行き、差し押さえ撤回を依頼
再建の第一歩は、国税局への対応でした。
社長と共に国税局へ行き、売掛金差し押さえの撤回を依頼しました。ここで重要なのは、感情的にお願いするのではなく、会社の現状と今後の納付計画を明確に伝えることです。
その結果、差し押さえを撤回してもらい、滞納税金を分割払いにしてもらうことができました。
2. 毎月の納付額と将来収支を見直した
滞納税金は1,000万円を超えていました。これを納付していくため、毎月いくらであれば現実的に支払えるのかを検討しました。
この事例では、毎月30万円を基準にした納付計画を立て、1年間の納付猶予期間の中で完納へ向かう道筋を作りました。
重要なのは、均等払いだけにこだわるのではなく、資金繰りの波を読み、支払える時期と金額を見極めながら納付計画を組み立てることです。

3. 経営全体を見直した
税金滞納は、単なる納税の問題ではありません。会社のお金の流れ、利益の残し方、経費の使い方、経営者の報酬の取り方にも深く関わっています。
そこで、売上、利益率、人件費、経費、経理処理、資金繰り、社長の行動まで、経営全体を見直しました。
税金や社会保険の支払いを後回しにしてしまう会社ほど、気づいた時には差し押さえや信用不安という形で一気に問題が表面化します。だからこそ、早い段階で経営体質を正す必要がありました。
4. 社長が経営者としての自覚を取り戻した
この再建の中で、社長は税務署や税金に対する認識の甘さを深く反省しました。
そして、全ての経営に対して見直しを行い、経営者として自覚ある行動を取るようになりました。
特に大きかったのは、社員、お客様、取引先、関係者すべてに対して感謝の心を持つようになったことです。社長の姿勢が変わることで、会社の空気も変わっていきました。
5. 取引先との関係を見直し、誠意を示した
再建後、社長は取引先との関係を見直し、これまで以上に誠意を持って対応するようになりました。
その結果、取引先からの信頼が少しずつ回復し、発注量の増加にもつながりました。
税金問題をきっかけに、社長自身が経営者としての姿勢を改めたことが、会社の再生に大きく影響したのです。
再建前と再建後の比較
| 再建前 | 再建後 |
|---|---|
| 所得税未払いが1,000万円超 | 分割納付計画を立て、完納へ向けた道筋を確保 |
| 売掛金に差し押さえを受けた状態 | 国税局との交渉により差し押さえを撤回 |
| 元請けとの信用低下で取引中止の危機 | 誠意ある対応により取引先との関係を改善 |
| 税務や資金繰りへの認識が甘かった | 社長が経営者としての自覚を取り戻した |
| 100%下請のため取引中止が即倒産に直結 | 発注量が増え、黒字決算を継続 |
再建の流れ
時系列で見る再建プロセス
- 相談当時:所得税未払いが1,000万円を超え、売掛金に差し押さえを受ける
- 危機発生:元請けからの信用を失えば、取引中止となり即倒産に直結する状況
- 再建開始:国税局へ行き、差し押さえ撤回と分割納付を依頼
- 納付計画:将来収支を予測し、毎月の納付額と完納への道筋を設定
- 社長の変化:税務と経営への認識を反省し、経営者としての行動を見直す
- 再建後:取引先との関係が改善し、発注量増加と黒字決算継続へつながる
この再建の3つの核心
- 税金滞納を放置しない:売掛金差し押さえは、取引先の信用を一気に失う危険があります。
- 納付計画を数字で示す:将来収支を予測し、支払える金額を具体的に組み立てることが重要です。
- 社長自身が変わる:経営者の自覚と感謝の心が、取引先・社員・会社全体の空気を変えます。
最終的に会社はどうなったか
再建後、会社は取引先との関係を見直し、誠意を示すことで発注量が増え、売上増につながりました。
資金繰りや銀行対応についても、特に問題なく良好な関係を築けるようになりました。
また、社長が変わったことで社内は明るくなり、その後は黒字決算を続けています。

この事例から学べること
この再建事例の一番の教訓は、所得税や社会保険を甘く見てはいけないということです。
税金を払えない状態を放置すると、売掛金などに差し押さえが入り、取引先からの信用を失い、即倒産につながることがあります。
業績が悪化した時は、まず経費を下げること。その中でも、経営者自身の役員報酬は早い段階で見直す必要があります。
税務署や社会保険を甘く見ず、現実を直視し、早めに相談し、具体的な納付計画を立てることが、会社を守る第一歩です。
再建から再生へ
今回の事例は、単に税金の分割納付ができたという話ではありません。
売掛金差し押さえという現実を前に、社長が経営者としての自覚を取り戻し、会社全体を見直したことが本当の再建につながりました。
経営者の意識が変われば、取引先への姿勢が変わり、社員への向き合い方が変わり、会社の空気も変わります。
これこそ、危機から会社が生まれ変わる「再生」の姿といえます。
よくある質問
この再建事例はどのような会社の事例ですか?
愛知県の建設会社の再建事例です。社員7名、創業約20年、大手建設会社の100%下請会社で、所得税未払い1,000万円超と売掛金差し押さえにより倒産危機に直面していました。
会社が経営危機に陥った主な原因は何ですか?
所得税未払いが1,000万円を超え、国税局から売掛金の差し押さえを受けたことです。売掛金が押さえられると元請けからの信用を失い、取引中止となる恐れがありました。
売掛金差し押さえはなぜ危険なのですか?
売掛金の差し押さえは、取引先に税金滞納の事実が伝わる可能性があり、信用低下につながります。特に100%下請会社の場合、元請けとの取引が止まれば、会社存続に直結する危険があります。
再建では、まず何から取り組んだのですか?
まず国税局へ社長と共に行き、売掛金差し押さえの撤回と分割納付を依頼しました。そのために、将来の収支を予測し、毎月いくらなら納付できるかを具体的に見直しました。
滞納税金はどのように納付していったのですか?
この事例では、滞納税金1,000万円超について、毎月30万円を基準にした分割納付計画を立てました。均等払いに限らず、資金繰りに合わせて完納へ向けた道筋を組むことが重要でした。
社長は再建の中でどのように変わりましたか?
社長は税務署や税金に対する認識の甘さを反省し、経営全体を見直すようになりました。また、社員、お客様、取引先など、すべての関係者に対して感謝の心を持つようになりました。
再建後、会社はどうなりましたか?
取引先との関係を見直し、誠意を示すことで発注量が増え、売上増につながりました。社内も明るくなり、その後は黒字決算を続けています。
この事例から学べる経営再建のポイントは何ですか?
所得税や社会保険を甘く見ず、早めに資金繰りと経費を見直すことです。業績が悪化した時は、経営者自身の役員報酬も含めて早期に見直し、滞納を放置しないことが会社を守る重要なポイントです。
会社の再建に、遅すぎるということはありません
税金滞納、社会保険の未払い、売掛金差し押さえ、資金繰り悪化、取引先からの信用不安。こうした問題が重なると、経営者は一人で抱え込みがちです。
しかし、現状を正しく見つめ、資金繰り、経費、役員報酬、納付計画、取引先対応を整理することで、会社を守る道は見えてきます。
経営の樹を育てる会では、数字だけでなく、経営者の覚悟、社員との関係、取引先との信頼回復、事業継続の方向性も含めて、再建から再生への道筋を共に考えていきます。


















