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印刷会社の経営再建事例|社会保険料滞納・売掛金差し押さえから新会社設立で再生

静岡県の印刷会社が売掛金差し押さえの危機から新会社設立で再生へ向かうイメージ

時代の変化によって、長年続いてきた事業が急速に苦しくなることがあります。

特に印刷業は、パソコンやデジタル化の普及により、従来の印刷需要が大きく減少してきた業界の一つです。

今回ご紹介するのは、静岡県の印刷会社が、社会保険料の滞納による売掛金差し押さえで倒産寸前となった状況から、長男による新会社設立によって事業を再生した「転生による再建」事例です

事例サマリー

印刷需要の激減と、好況時の財務感覚が残ったままの経営により、社会保険料の未納が1,000万円まで膨らみ、 売掛金を差し押さえられた印刷会社が、長男による新会社設立と黒字決算によって再建へ向かった事例です。

5

社員数

25

社歴

1000 万円

社会保険料未納

再建前

需要激減と社会保険料滞納で倒産寸前へ

印刷需要が減少する中、役員報酬を好況時の感覚のまま見直せず、未払であっても社会保険料は発生し続けました。 その未納額が1,000万円となり、売掛金を差し押さえられる事態に陥りました。

再建策

長男が新会社を設立し事業を生かす

経営者は心労により経営意欲を失っていたため、旧会社の整理を進め、長男が新会社を設立。 顧客、取引先、仕入先へ説明し、新会社での事業継続を進める方針としました。

再建後

黒字決算とプロパー融資で再建成功へ

新会社は1年目の決算を黒字化し、その決算書をもとに銀行からプロパー融資を受けました。 資金を充実させ、長男を新社長として順調な経営へ進みました。

この事例の核心: 旧会社の継続が難しい時でも、事業・顧客・取引先を新しい形で生かし、黒字実績で信用を回復することで、再建の道は開けます。

会社概要

  • 所在地:静岡県
  • 業種:印刷業
  • 社員数:5名
  • 社歴:25年

相談当時の状況

この会社は、静岡県で25年続く印刷会社でした。

しかし、印刷業界はパソコンの普及により需要が激減していました。

にもかかわらず、会社には2年前の好況時の財務感覚が残っていました。特に、経営者の役員報酬は、不況になってからも大きく見直されないままでした。

役員報酬は未払となっていたため、社長には給与を実際にもらっている感覚がありませんでした。

しかし、未払であっても社会保険料は発生します。その未納額が1,000万円となり、社会保険事務所から売掛金を差し押さえられてしまいました。

この段階で、旧会社での事業継続は非常に難しい状態となっていました。

印刷会社の経営者が社会保険料滞納と売掛金差し押さえの危機に直面するイメージ
印刷需要の減少と社会保険料未納により、旧会社が深刻な経営危機へ追い込まれた状況

再建方針|転生による再建

今回の再建方針は、転生による再建でした。

経営者は心労が重なり、すでに経営意欲を失っていました。

そこで、旧会社での事業継続が困難であると判断し、旧会社の整理を進めながら、長男が新会社を設立し、印刷事業を新しい形で生かす方針としました。

旧会社には借入金や未払金が残りましたが、社長が保証人として長期分割払いで整理していくこととしました。

一方で、取引先、顧客、仕入先については、事情を説明し、新会社での取引継続について理解を得ていく方針としました。

再建実行

1. 長男が新会社を設立

再建の中心となったのは、長男による新会社設立でした。

長男は旧会社で働いていたため、印刷業務や取引先との関係を理解していました。

そこで、旧会社の近くに新会社を設立し、印刷事業を継続できる体制を整えました。

2. 顧客・取引先・仕入先を新会社へ移行

新会社設立後は、顧客、取引先、仕入先へ事情を説明し、新会社での取引継続について理解を得ていきました。

取引先やお客様の移行は、スムーズに進み、大きな問題は起きませんでした。

これは、長年の印刷事業の中で築いてきた顧客との関係や、長男が現場で働いていたことによる信頼があったからこそ実現できたことです。

長男が新会社を設立し印刷会社の事業再生を進める再建計画のイメージ
長男が中心となって新会社を設立し、取引先や顧客の移行を進めながら印刷事業の再生を図る

3. 保証協会の支援を受けにくい課題が残った

新会社として事業をスタートした後、大きな問題が一つ残りました。

それは、保証協会の支援を受けることが難しいという点です。

旧会社と新会社は、法律上は別会社として整理されていました。しかし、旧会社の借入返済が滞り、保証協会による代位弁済が発生していたため、信用面での課題は残っていました。

そのため、保証協会付き融資に頼ることは難しく、新会社自身の実績で銀行から信用を得る必要がありました。

4. 1年目の決算を黒字化し、銀行へ提示

そこで、新会社は1年目の決算を黒字にすることを最重要課題としました。

黒字決算書を作り、その実績を銀行へ提示することで、保証協会に頼らないプロパー融資を目指したのです。

この黒字決算が、新会社の信用回復に向けた大きな一歩となりました。

5. 銀行からプロパー融資を受け、資金を充実

1年目の黒字決算書をもとに、銀行からプロパー融資を受けることができました。

これにより、保証協会の支援を受けにくい状況でも、資金を充実させることができました。

こうして、転生による再建は成功しました。

再建前と再建後の比較

再建前 再建後
印刷需要が激減し、旧会社の経営が悪化 長男が新会社を設立し、印刷事業を継続
役員報酬を見直せず、社会保険料負担が増加 旧会社を整理し、新会社で身軽な経営へ移行
社会保険料未納1,000万円により売掛金差し押さえ 顧客・取引先・仕入先の新会社移行を進める
経営者が心労により経営意欲を失う 長男が新社長として事業再生を推進
保証協会の支援を受けにくい状況 1年目黒字決算をもとに銀行プロパー融資を実現

再建の流れ

時系列で見る再建プロセス

  • 経営悪化:印刷需要の減少により旧会社の経営が苦しくなる
  • 問題拡大:役員報酬を見直せず、社会保険料未納が1,000万円まで膨らむ
  • 危機発生:社会保険事務所から売掛金差し押さえを受ける
  • 方針決定:旧会社の整理と、長男による新会社設立を決断
  • 新会社設立:顧客・取引先・仕入先へ説明し、新会社で事業を開始
  • 信用課題:保証協会の支援を受けにくい状況の中、黒字決算を目指す
  • 再建成功:1年目黒字決算を提示し、銀行プロパー融資で資金を充実

この再建の3つの核心

  1. 旧会社の限界を見極めたこと:心労により経営意欲を失った旧経営者に代わり、事業を新しい形で生かす方針を取りました。
  2. 長男が新会社を設立したこと:顧客・取引先・仕入先の理解を得ながら、印刷事業を継続する器を作りました。
  3. 黒字決算で信用を回復したこと:保証協会に頼りにくい状況でも、黒字実績を示し、銀行プロパー融資へつなげました。

新会社は黒字経営へ

新会社は、旧会社から顧客や取引先を引き継ぎながら、身軽な形で事業をスタートしました。

長男にはアイディアもあり、新しい会社として順調な経営を続けることができました。

そして、1年目の決算を黒字とし、それを銀行へ提示することで、プロパー融資を受けることができました。

資金面も充実し、転生による再建は成功へと進んでいきました。

新会社として再出発した印刷会社が黒字決算と信用回復を実現したイメージ
新会社が黒字決算を達成し、銀行からのプロパー融資によって資金を充実させながら再出発

この事例から学べること

この事例から学べることは、業界環境が変わった時には、過去の好況時の感覚を引きずってはいけないということです。

売上が下がっているにもかかわらず、役員報酬や固定費を見直さなければ、会社の中に見えない未払が積み上がっていきます。

また、未払であっても社会保険料は発生し、滞納が膨らめば売掛金差し押さえという厳しい現実に直面することになります。

一方で、旧会社での継続が難しい場合でも、事業そのものに価値があり、次世代が引き継げるなら、新会社設立による再建という道もあります。

再建から再生へ

今回の再建は、旧会社をそのまま延命するものではありませんでした。

印刷需要の減少、社会保険料滞納、売掛金差し押さえという危機を受け止めたうえで、長男が新会社を設立し、顧客・取引先・仕入先との関係を生かす形で事業を再生しました。

そして、新会社として黒字決算を実現し、銀行からのプロパー融資で資金を充実させることで、次の成長へ向かう土台を作ることができました。

これは、まさに転生による再建の一つの姿です。

よくある質問

この再建事例はどのような会社の事例ですか?

静岡県の印刷会社の再建事例です。社員5名、社歴25年の会社で、印刷需要の減少と社会保険料滞納による売掛金差し押さえで倒産寸前となっていました。

会社が危機に陥った主な原因は何ですか?

パソコンの普及により印刷需要が減少したにもかかわらず、好況時の財務感覚が残り、役員報酬の見直しが遅れたことです。未払役員報酬に対する社会保険料が発生し、未納額が1,000万円まで膨らみました。

なぜ売掛金が差し押さえられたのですか?

社会保険料の未納が1,000万円まで膨らんだため、社会保険事務所から売掛金を差し押さえられました。未払役員報酬であっても、社会保険料は確実に発生する点に注意が必要です。

再建ではどのような方針を取りましたか?

旧会社での事業継続が困難と判断し、長男が新会社を設立して印刷事業を継続する「転生による再建」の方針を取りました。

新会社設立では何を行いましたか?

旧会社の近くに新会社を設立し、顧客、取引先、仕入先へ説明を行い、新会社での取引継続について理解を得ました。移行はスムーズに進み、大きな問題は起きませんでした。

新会社にはどのような課題がありましたか?

旧会社の借入返済が滞り、保証協会による代位弁済が発生していたため、新会社は保証協会の支援を受けにくい状況でした。そのため、黒字決算を作り、銀行プロパー融資を目指しました。

再建の結果、会社はどうなりましたか?

新会社は1年目の決算を黒字化し、それを銀行に提示することでプロパー融資を受け、資金を充実させることができました。長男を新社長として、順調な経営を続けています。

この事例から学べる経営再建のポイントは何ですか?

業界環境が変化した時には、過去の好況時の感覚を引きずらず、報酬や固定費を早く見直すことが重要です。また、旧会社での継続が難しい場合でも、事業を新しい会社で生かす再建方法があります。

会社の再建に、遅すぎるということはありません

社会保険料の滞納、売掛金差し押さえ、需要減少、固定費の見直し遅れ、経営意欲の低下。こうした問題が重なると、経営者は一人で抱え込みがちです。

しかし、現状を正しく見つめ、旧会社の整理、新会社設立、取引先への説明、黒字決算による信用回復を進めることで、事業を生かす道が見えてくることがあります。

経営の樹を育てる会では、数字だけでなく、経営者の心労、事業承継、関係先への対応、再建から再生への道筋まで、共に考えていきます。

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