新しき世を 感謝で目指せ
けれども今日は、その文字をあらためて見つめ直し、終わりの先にある再出発の意味を静かに考えてみます。
倒産という状態には、必ずしも一つの明確な定義だけがあるわけではないとされています。一般には、経営者が経営への意欲を失った時を倒産と見る考え方もありますが、資金繰りが苦しい状況であっても、周囲の協力によって再建の道が残されることもあります。
その意味では、倒産とは単なる数字や制度だけで決まるものではなく、人の心と周囲との関わり方にも深く結びついている出来事だと言えるのかもしれません。
そこで「倒産」という文字をあらためて見てみると、「倒す」と「産む」という二つの響きを重ねて読むことができます。そこには、陰の側面と陽の側面が同時に含まれているようにも感じられます。
「産む」は陽。
この二つを重ねて見ると、「倒産」は終わりだけでなく、何かを改めて生み出す契機としても受け止めることができます。
さらに「倒す」は「人に至る」とも読める、という見方に立つと、そこには別の意味が現れてきます。経営者には、人間としての人格と、法人としての人格があると言われます。
そう考えるならば、法人という立場をいったん終え、人間として新しく生き直すという見方もできるでしょう。倒産とは、ただ失うことではなく、新しい人生へ移るための節目として受け止める余地を持っています。
ただし、そこには大切な前提があります。それは、周囲の人々に迷惑をかけないよう誠実に向き合うことです。再出発は、自分だけの都合で語れるものではなく、支えてくれる人や関係者への配慮の上に成り立つものだからです。
どのような苦しい場面にも、そこで終わる道だけではなく、そこから始まる道があるのかもしれません。倒産という重い言葉の中にも、新しく生まれ直すという陽の働きを見いだせるなら、人はなお前を向くことができます。感謝を忘れず、誠実に歩みを整えながら、新たな世を目指していきたいものです。


















