赤字の会社では、売上を伸ばす、原価や経費を削減するという取り組みをしているとよく聞きますが、このような取り組みでは一時的に黒字になったとしても、また赤字になってしまう会社が多くあります。
赤字の企業が売上を伸ばし、原価や経費を削減し、黒字になったにもかかわらず、また赤字になってしまったのです。
なぜ、こういうことが起きてしまったのでしょうか。
赤字企業の黒字化
売上げは、「3本の枝(ヒト、モノ、カネ)の調和により伸びるもの」だからです。
売上げ至上主義の弊害
売上は3本の枝の調和により上がるものです。営業だけの力で上がるものではありません。売上至上主義の弊害を先ず考えてみましょう。
- 売上アップを計る=営業部を重視する
- 営業経費が増加する=販促費、接待費、交通費など売上げに比例して増える
- 労働時間が増加する=残業代が増加すると同時に社員の意欲が低下する
- 売上げは増えるが同時に経費も増え、利益は出ない
- 経営は良くなるどころかムダ、ムラ、ムリの反動により、却って悪化する
- お客様サービスの低下に繋がり、離れていく(悪循環に陥る)
ほとんどの会社が、この過ちを繰り返しています。
3部門の調和による売上計画
厳しい競争社会にあって「売上げを上げながら利益を上げる経営」を続けることは大変な努力を強いられるどころか却って経営が悪化することになります。客観的に考えても社会全体が大きくならない以上、無理であることは明らかです。
そこで「売上を減らしながら利益を上げる」ことを考えたらいかがでしょうか?
矛盾していると思われるかもしれませんが、決して難しいことではありません。
3部門(ヒト、モノ、カネ)の調和により、可能になるものです。
その仕組みを考えてみましょう。
「根の経営理念、幹の経営方針、それを具体的に実らせていくために、3本の枝が調和を保って大きくなり、葉を繁らせていきます。」
この3つの枝のコントロールをすることこそが、VOC(Vision・Organization・Control)サイクルと呼ぶ経営者の仕事です。
3本の枝(部門)はヒト・モノ・カネ
■1本目の枝 = 組織活性化計画(ヒト)
ヒト、つまり社員や関係する人々を、働きやすい組織を作って、その持てる力を100%以上発揮させる仕組みを作ることです。
■2本目の枝 = 営業収支改善計画(モノ)
モノ、つまり物販、サービス、製造など、オンリー1に育て上げるとともに、自ずと売れる仕組みを考えることです。
■3本目の枝 = 財務健全化計画(カネ)
ヒト、モノが十分に動くための血液としてのカネを円滑に滞りなく流すことを考えることです。
このように、各部門がそれぞれ努力して重なり、調和することにより、大きな力になっていくものです。
売上を減らしながら利益を上げる理屈がお分かりいただけたものと思います。