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詐欺グループによりアパートを取られてしまう寸前で防いだ|個人相談事例

詐欺グループ

相談内容 

友人からの投資話に乗り、アパートを担保にして借入れ、その借入金を全額友人に預けた。

しかし、友人が返済出来なくなり、アパートを取られてしまうことになり困っているので解決してほしい、との依頼である。

詐欺集団から巧妙に仕組まれた、知識のないお年寄りに付け込んだ不動産詐である。

経緯

75歳のKさんという女性は、ある友人からAさんを紹介され儲け話を聞かされた。

それには1,000万円の資金が必要とのことだった。

興味を持って行ってみると、紹介者とAさん、そしてお金を貸してくれるDさんの3人が待っていた。

「必ず儲かるから」

と聞かされ、その気になり始めるとすかさず1,000万円の現金が目の前に出され、これを使ってくれという。

担保はKさんが持っているアパートで良いという。

Kさんは、その場で担保提供を承諾、1,000万円はそのままDさんからAさんに渡った。

そしてその事業が始まった。

返済遅延誘導と競売執行

競売執行

その後、進展状況はわからないまま月日は過ぎて行った。

Kさんには約束の配当金は1円も入ってこない。

その金貸しのⅮさんは、わざわざ若い社員を集金に来させるのである。

そして、2~3ヵ月過ぎた頃からわざと、
その期日に遅れてくるのである。

それから数か月経過した頃、担保提供してあったアパートを処分するという通知が届いた。

これは、わざと返済期日を遅らせて「期限の利益の喪失」という形にして、担保のアパートを取る計画だった。

しかも、即執行できるように公正証書に取られている。

本来、裁判において判決をもらわないと競売執行はできないが、公正証書に取られていると即競売が出来るのである。

詐欺集団から巧妙に仕組まれた、知識のないお年寄りに付け込んだ不動産詐欺である。

解決方針〈話し合いで解決〉

お金に関する話し合い

この場合は、明らかな投資詐欺事件である。

しかし立件は困難だ。

警察へ行っても取り上げる可能性はないと判断できた。

そこで話し合いで解決することとした。

貸金業者との話し合い

Kさんと2人でその金融会社へ出向いた。

事務所には貸金業者の看板もあり、いわゆる闇金ではない。

先ずは話を聞くことにした。

そうしたら、開口一番、

「ばあさん、今度は誰を連れてきたんだい。3人目じゃないか。誰を連れてきても同じだよ」

と怒鳴るのである。

私が3人目とはびっくりしたが、あまりのひどい口調にかわいそうになった。

後で聞くと、1人目が税理士、2人目が経営コンサルタントで2人とも追い返されたそうだが、恐らく正当な主張をしたものと思われる。

私が前の2人と同じように論争したり、こちらの言い分を通そうとするとほぼ負けである。

なぜなら法律的には、向こうが正しいからである。

法律は正しい人の為にあるのではなく、悪人の為にある

からである。

つまり「ここまでなら悪いことをしてもいいのだよ」という悪事を働く人の羅針盤みたいなものだからだ。

そこで、私は全て相手の言い分に耳を傾け、

ニコニコしながら聞いていた。

結果

支払い

すると相手は30分位しゃべり続けた後、何を思ったか、自分の言い分を引っ込め、こちらの言うようにしてくれた。

元々、法律スレスレの詐欺行為であり、まともに主張するようなものは無いからである。

このようにして、即、多少高い金利だが、まともな金融機関から借りて一括返済をすることが出来た。

この時、その高利貸しから私に対して,

「あんたなら安く貸すから一緒にやらないか」と持ち掛けられた。

貸付金利まで明示してくるのである。

このKさんのように不動産を持っているおばあさんに貸し付け、返済が滞るように仕向け、担保に取った不動産を巻き上げようという仕事の誘いである。

もちろん笑いながら遠慮した。

こういう相手は、こちらがどの位の知識を持っているか計りながら話しかけてくる

真っ当なことをしていないから弱みを持っており、突っ込まれることを警戒しているのである。

しかし、それを表に出すとまとまらない。

悟らせるしかない。

そんな一場面であった。

再建コンサルタント:古川 益一のコメント

再建コンサルタント:古川益一

詐欺被害の捉え方

貸付金利は、法定金利(100万円未満は18%、100万円以上は15%)内であれば違法ではありません

貸金業の看板を揚げ、法律すれすれの貸付、回収をしている貸金業者に対しては、いかにやり方が間違っていても違法では無い以上、話し合いは難しいものです。

今回の事例は、友人と貸金業者がグルになった詐欺事件ですが、立証は難しく警察は取り上げない場合がほとんどです。

つまり、騙された方が悪いということであり、自分は自分自身で守らなくはなりません。

又、自分自身が借りなくても仕方なく、保証人にさせられてしまう場合も多いものです。

詐欺被害に遭わないために最低、守らなければならない点は次のとおりです。

①借入名義を貸さないこと

特に女性に多い例として、借入名義を「絶対に迷惑を掛けないから」と言われ、借入人になってしまうケースがあります。

元々、返済能力が無いから自分の名義で借りられない訳です。

必ず返済しなければならなくなります。

絶対に断りましょう。

②保証人になっても担保提供はしないこと

最低、連帯保証人になってしまっても不動産の担保提供は絶対に断りましょう。

保証人だけなら即不動産を取られることはなく、話し合いの余地が残されています。

「連帯保証人と担保提供とは全く次元が違う」ことの認識が必要です。

③公正証書には応じないこと

公正証書は担保不動産や給料などを即、押えることが出来る権利を保証したものです。

不動産など、担保提供をしていても裁判により確定判決を取らないと競売執行は出来ませんが、公正証書は返済が滞った翌日にでも、強制的な取り立て処分が可能になる恐ろしいものです。

「公正」とは公平で正しい意味ですが、貸金業者が作る公正証書は「即日の借金取立の権利を保証しているもの」と思わなくてはなりません。

④決して争わないこと

投資詐欺でも、パクリ屋と言われる詐欺集団でも、全て法律スレスレで行っており、争ってもほぼ勝ち目はありません。

明らかに詐欺罪であっても、詐欺罪の立証は難しく、警察への被害届を出しても取り上げません。

しかし、取り上げなくても相手に対して牽制は出来るので、被害届を出した上で、争わずに逃げ道を与えながら交渉してゆきましょう。

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